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PowerFLARM Flex WebGUI(FLARM Hub)操作マニュアル

パイロット/一般ユーザー向け・日常運用ガイド ― ステータス確認、IGCログ取得、Wi-Fi接続、ソフトウェア更新を中心に

対象機器:PowerFLARM Flex(ファームウェア 7.44 / FLARM Hub 1.83)
本書のスクリーンショットは実機のWebGUIを撮影したものです。機体登録記号・パイロット名・ICAOアドレス・デバイスID・シリアル番号・位置情報・SSID・QRコードなどの個人・機体固有情報はマスク(架空値に置換)してあります。実機では実際の値が表示されます。

はじめに本書について / 接続方法Getting started

PowerFLARM Flex は、内蔵のWi-Fiアクセスポイントを使ってスマートフォン・タブレット・PCのブラウザから設定と保守ができます。このブラウザ画面が FLARM Hub(本書では「WebGUI」)です。ケーブルもアプリのインストールも不要で、飛行前後の点検やIGCログの取り出しがその場で完結します。

接続のしかた

  1. 機体の電源を入れ、PowerFLARM Flex を起動します(起動後30秒ほどでWi-Fiが立ち上がります)。
  2. スマホ/PCのWi-Fi設定で、FLAFLX10W-xxxxxx という名前のネットワークに接続します。パスワードは本体ステッカーに記載されています。ステッカーのQRコードを読めばSSID・パスワードの入力を省略できます。
  3. ブラウザのアドレス欄に 10.10.10.10 と入力します。FLARM Hub の画面が開きます。
ポイントこの接続はインターネットとは別物です。機器のWi-Fiにつないでいる間はスマホがネットにつながらないことがありますが、正常です。
飛行中の扱いWi-Fiは電波を出すため、運用によっては離陸後に自動でオフにする設定が推奨されます(第3章 WiFiの「Wireless Auto Shut Off」)。またWebGUIは衝突警報の表示装置ではありません。飛行中の見張り・警報確認は必ずFLARM対応ディスプレイで行ってください。

共通画面の共通レイアウトCommon layout

どの画面も左側に固定メニュー、右側に内容という構成です。メニューは4つのグループに分かれています。

グループ項目用途
(先頭)Status機器の現在状態をひと目で確認。飛行前点検の起点。
Configuration
(設定)
FLARM機体情報・送受信範囲・トランスポンダ/ADS-B・IGC記録などの本体設定。
WiFiSSID/パスワードの変更、Wi-Fi自動オフ条件。
FLARM Hub設定変更のロック(パスワード)、表示言語。
Maintenance
(保守)
Software Update本体ソフトとFLARM Hubの更新。
Obstacle Database障害物データベースの導入・更新。
IGC Files飛行記録(IGCファイル)の一覧・ダウンロード。
Tools
(ツール)
Traffic Monitor受信中のトラフィックをレーダー表示(動作確認用)。
Data Portデータポートに出ているNMEA文を生で表示・送信。
Range Analyzerアンテナ実効到達距離(CARP)の解析。
Simulator疑似トラフィック/警報を発生させ、ディスプレイの動作を確認。
IGC Task Declaration競技課題(タスク)の宣言。
Supportサポート用パッケージ作成、再起動、工場出荷リセット。
AboutAboutバージョン情報とオープンソースライセンス。
設定の保存について設定項目は変更すると自動的に本体へ書き込まれます(項目の右側に一瞬スピナーが出ます)。ただし Wi-Fi設定・IGCタスク・アップロード系は「Restart」ボタンを押すまで反映されません。各章の注意点を確認してください。
「?」アイコン各設定項目の左にある丸い「?」は公式のヘルプアイコンです。入力形式や制約の説明が表示されます。本書ではその内容を日本語で補足しています。

第1章Status ― ステータスStatus

WebGUIを開いたとき最初に表示される画面です。飛行前にここだけは必ず見るという位置づけの画面で、6つのカードに分かれています。

Status画面
Status画面。左上から順に FLARM / System / Power / Time & Location / Obstacle Database / Wi-Fi の6カード。Device ID・Radio ID・IGC Serial・Position・SSID・QRコードはマスク済み。

FLARM カード(動作状態)

表示正常時意味と対処
Status本体の総合状態。赤/灰なら Errors 欄と Support 画面を確認。
GPS緑(点滅→点灯)測位状態。点滅は捕捉中。屋内や機体内では時間がかかります。緑にならないとFLARMは送信しません。
Transmit自機情報を送信中。灰のままなら送信アンテナ・設定を確認。
Receive○(受信なし)/緑他機を受信すると点灯。地上で周囲に機体がなければ○が正常です。
Air/Ground ModeOn Ground / In Flight自動判定。飛行中のみ有効になる機能(Wi-Fi自動オフ等)の判断に使われます。
Flight RecorderOFF / ONIGCロガーの記録状態。離陸を検出するとONになります。
ErrorsNo errorエラーコードが出たら記録して販売店・サポートへ。

System カード(機器情報)

Power カード(電源)

内蔵バッテリーの残量(State of Charge)、本体温度、電源供給元(Battery / External)、外部電圧を表示します。External Voltage が 0.0 V のときは外部電源が来ていません。機内配線で使う場合は離陸前にここが機体電圧(例 12〜14 V)になっていることを確認してください。温度が高い場合は直射日光を避けます。

Time & Location カード(時刻と位置)

UTC時刻、現在位置(度・分表記)、GPS高度、気圧高度、受信衛星数を表示します。GPS Satellites が5個以上、位置が妥当であれば測位は良好です。気圧高度が表示されていれば内蔵気圧センサも正常です。

Obstacle Database カード

障害物データベースの状態。Not present は未導入。導入方法は第6章

Wi-Fi カード

接続用のQRコード、SSID、パスワード(目のアイコンで表示切替)、機器のIPアドレス(既定 10.10.10.10)。同乗者や整備担当に接続してもらうときはこのQRを見せるのが最短です。

飛行前30秒チェック①Status・GPS・Transmitが緑 → ②Errors が No error → ③Expiration Date が未来 → ④External Voltage が正常 → ⑤衛星数5以上。これだけで主要な不具合はほぼ拾えます。

第2章Configuration > FLARM ― 本体設定Configuration / FLARM

PowerFLARM Flex の中身をすべて決める画面です。項目数が多いので、画面上部の 「Show advanced configuration items」 にチェックを入れると詳細項目まで表示されます(本書はチェックONの状態を掲載)。詳細項目はグレーの帯で囲まれて表示され、本書では 詳細 を付けています。

最重要FLARMの衝突警報は「どんな機体に載っているか」を前提に計算されます。機体を載せ替えたとき・機器を交換したときは必ず機体情報を設定し直してください。設定が誤っていると警報のタイミングが不適切になります。
FLARM設定画面(1/3)
FLARM設定画面(1/3)。上部の青枠は「機体に合った設定が不可欠」という公式警告。「Show advanced configuration items」ON。General と Aircraft Information セクション。ICAOアドレス・登録記号・パイロット名・競技IDはマスク済み。

2-1. General(基本)

Aircraft type
意味
自機がどの種類の航空機かをFLARMに知らせます。飛行特性(旋回半径・上昇率・速度域)の想定に使われ、警報アルゴリズムの土台になります。他機の表示アイコンにも反映されます。
選択肢
Aircraft with reciprocating engine(s)(レシプロ機)/ Aircraft with jet/turboprop engine(s)(ジェット・ターボプロップ)/ Helicopter/Rotorcraft(回転翼)/ Drop plane for skydivers(スカイダイビング投下機)/ Tow plane(曳航機)/ Glider/Motor glider(グライダー・モーターグライダー)/ Skydiver(ダイバー)/ Hang glider (hard)(ハンググライダー)/ Paraglider (soft)(パラグライダー)/ Hot air balloon(熱気球)/ Airship(飛行船)/ UAV/drone/ Static object(地上固定物)
推奨値
Glider/Motor glider(滑空機の場合)。曳航機に載せているなら Tow plane。
注意点
未設定(---)だと警告が出ます。機体を移し替えたら真っ先に直す項目です。
Transponder type
意味
同じ機体にトランスポンダが載っているかを知らせます。載っている場合、自機のトランスポンダ応答を「他機」と誤認しないようにするために使われます。
選択肢
No transponder installed(非搭載)/ Mode-C / Mode-S
推奨値
実装どおり。Mode-S機なら Mode-S
注意点
Mode-Sを選んだ場合は ICAO 24bitアドレスの設定が必須です(未設定だとエラー表示)。ここを誤ると自機の応答で誤警報が出ることがあります。
Radio address type
意味
FLARMが電波に載せる自機IDの種別です。
選択肢
FLARM(機器固有のFLARM ID)/ ICAO(航空当局が発給したICAO 24bitアドレス)/ Random(毎回ランダム=追跡されない)
推奨値
Mode-Sトランスポンダ搭載機は ICAO。トランスポンダ非搭載でOGN等に機体登録している場合も ICAO または FLARM で固定します。
注意点
Random にすると、OGNの機体登録・ライブトラッキング・競技のロガー照合で自機を識別できなくなります。プライバシー目的でのみ使用してください。IDを変えたらOGNの登録も更新が必要です。
ICAO 24-bit aircraft address
意味
航空当局(日本では国土交通省)が機体に発給する24ビットの固有アドレス。16進6桁で表します。
選択肢
0-9・a-f の6文字(例 84xxxx =日本籍機の帯域)
推奨値
機体の耐空証明書/無線局免許状に記載された値をそのまま入力
注意点
Mode-S搭載機では必須。トランスポンダ側に設定されている値と完全に一致させること。1文字違うと自機を他機として警報する原因になります。

2-2. Aircraft Information(機体・搭乗者情報)

ここで入れた情報は、FLARM電波に載って周囲の機体やOGN受信局に伝わります(後述の Automatic exchange が On の場合)。またIGCログのヘッダにも使われます。

Registration (Tail number)/Glider ID
意味
機体の登録記号(日本籍なら JAxxxx)。半角英数15文字まで。
選択肢
ASCII 15文字以内
推奨値
登録記号をハイフンなしで入力(例 JA01XX)。
注意点
全角文字は使えません。
Aircraft model/Glider Type
意味
機種の名称(例 LS8-s-18ASK21)。ASCII 31文字まで。
選択肢
自由入力
推奨値
メーカー公称の型式表記。競技ではスパン違いも書き分けると識別しやすくなります。
注意点
IGCログのヘッダに記録され、競技提出時に参照されます。
Pilot name
意味
操縦者名。ASCII 47文字まで。
選択肢
自由入力(半角英字)
推奨値
ローマ字で姓名(例 YAMADA Taro)。
注意点
クラブ機のように搭乗者が替わる場合は、飛ぶ前にここを書き換えるのが正しい運用です(IGCログのPilot欄になります)。
Glider competition ID
意味
機体の識別コード(尾翼に書く1〜3文字)。他機のFLARMディスプレイに表示されます。
選択肢
ASCII 15文字以内(実際は1〜3文字)
推奨値
尾翼の表記と同じ文字列
注意点
空欄でも動作しますが、入れておくと他機からの視認・呼びかけが容易になります。
Automatic exchange of aircraft information
意味
登録記号・機種・コンペIDなどを、FLARM電波で周囲の機体と自動的にやり取りする機能(MSG機能)。
選択肢
Off / On
推奨値
ライセンスがある場合は On
注意点
本機のように MSG license is not present - only periodic messages are available. と表示される場合、この機能は別ライセンスが必要で、選択しても定期メッセージのみとなります。

2-3. Data Port(データポート)

本体のRJ45コネクタから外部機器(フライトコンピュータ、PDA、ディスプレイ)へ送るデータの形式を決めます。接続する機器の取扱説明書に合わせるのが原則です。

FLARM設定画面(2/3)
FLARM設定画面(2/3)。Data Port、FLARM Traffic(グレー=詳細項目)、Transponder/SSR & ADS-B Receiver セクション。
Data sentences on the "RJ45" port
意味
ポートに流すNMEA文の種類を選びます。
選択肢
None(出力なし)/ Navigation and FLARM(GPS航法文+FLARM文)/ Navigation only(航法文のみ)/ FLARM only(FLARM文のみ)/ Garmin TIS / GDL 90
推奨値
一般的なグライダー用フライトコンピュータ(LX, Oudie, XCSoar 等)は Navigation and FLARM
注意点
Garmin TIS / GDL 90 は特定の機器専用です。選ぶ前にヘルプ(?アイコン)と接続機器の仕様を確認してください。
Protocol version for the "RJ45" port
意味
FLARMデータプロトコルの版。新しい版ほど情報量が多くなります。
選択肢
Version 3 / 4 / 6 / 7 / 8 / 9
推奨値
接続機器が対応していれば 最新(Version 9)
注意点
古い外部機器は新しい版を解釈できず、トラフィックが表示されなくなることがあります。表示が出ない場合は版を下げて試します。
Baud rate of the "RJ45" port
意味
シリアル通信の速度(bps)。
選択肢
4800 / 9600 / 19200 / 28800 / 38400 / 57600 / 115200 / 230400
推奨値
57600(多くのグライダー用機器の既定)。情報量が多い場合は 115200。
注意点
両側の速度が一致していないと一切通信できません。変更したら外部機器側も必ず合わせること。低速のまま情報量を増やすと取りこぼしが起きます。

2-4. FLARM Traffic(FLARM同士のトラフィック) 詳細

FLARM電波で受信・警報する範囲と、自機情報の公開レベルを決めます。

FLARM horizontal range
意味
この距離より遠い機体は表示・警報の対象から外します(受信自体はしています)。
選択肢
1.5 NM/3 km / 3 NM/6 km / 5 NM/9 km / 7 NM/13 km / 10 NM/19 km / 15 NM/28 km / 20 NM/37 km / Unlimited / Custom
推奨値
Unlimited。滑空機同士は接近が速いため、遠方から把握できる方が安全です。
注意点
混雑した競技会などで外部ディスプレイの表示が煩雑になる場合のみ絞ります。ここで絞ると Traffic Monitor にも表示されなくなります
FLARM vertical range
意味
自機高度からこの範囲を超えて上下に離れた機体を除外します。
選択肢
1600 ft/500 m / 2000 ft/600 m / 3000 ft/900 m / 4500 ft/1400 m / 6500 ft/2000 m / Custom
推奨値
6500 ft / 2000 m(既定)。
注意点
狭くすると上空を通過する機体が見えなくなります。サーマル内で高度差の大きい機体を把握したい場合はむしろ広めに。
Stealth mode
意味
ONにすると、自機の位置情報が他機に「間引かれた形」でしか伝わらなくなります(警報に必要な最低限のみ)。競技で他機に追従されるのを防ぐための機能です。
選択肢
Disabled / Enabled
推奨値
Disabled(通常運用)。競技規則で指定された場合のみ Enabled。
注意点
安全上のデメリットがあります。周囲の機体は自機の細かい動きを把握できず、状況認識が下がります。訓練飛行・混雑空域では絶対にOFFのままに。
No-Track mode
意味
ONにすると、OGNなどの地上受信ネットワークに「この機体は記録・公開しないでほしい」というフラグを送ります。
選択肢
Disabled / Enabled
推奨値
Disabled。OGNでのライブトラッキングや、捜索救難での位置追跡を活用したい場合は必ずOFF。
注意点
ONにすると 地上からの航跡記録が残らないため、遭難時の捜索に不利です。クラブ運用では原則OFFを推奨します。なお、地上にいる間はStealth/No-Trackの機体は Traffic Monitor に表示されません。

2-5. Transponder/SSR & ADS-B Receiver(トランスポンダ/ADS-B受信)

PowerFLARM Flex は1090MHzの受信機を内蔵しており、ADS-B送信機やトランスポンダ(Mode-S/Mode-C)を積んだ機体も検出できます。ここではその扱いを決めます。

ADS-B collision warnings
意味
ADS-B Out を出している機体に対して衝突警報を出すかどうか。
選択肢
Off / On
推奨値
On。エアラインや一般機との接近を知る唯一の手段になります。
注意点
ADS-B機が多い空域では警報が増えます。それでもOFFにするより範囲設定(下記)で調整するのが安全です。
Beep on Mode-S warnings
意味
方向が分からないMode-S機(無指向性警報)に対して、音を鳴らすかどうか。
選択肢
Off / On
推奨値
On(周囲に交通量がある空域)。訓練空域で頻繁に鳴って煩わしい場合のみ Off。
注意点
Mode-S警報は「近くに誰かいる」ことしか分かりません。方向は示されないため、鳴ったら全周の見張りを強化します。
Enable Mode-C decoding
意味
古い Mode-C トランスポンダの応答も拾って警報対象にするか。
選択肢
Off / On
推奨値
On
注意点
Mode-Cは誤検出が起きやすいため、下の Filtering Method と組み合わせて使います。
Mode-C Filtering Method
意味
Mode-C応答のノイズ・重複をどれだけ強く除去するか。
選択肢
Aggressive (Default)(強く除去)/ Less aggressive(弱め)
推奨値
Aggressive (Default)
注意点
Less aggressive にすると検出は増えますが、実在しない機体(ゴースト)による誤警報も増えます。
Use barometric altitude from Mode-S transponder? 詳細
意味
他機との高度比較に、自機のMode-Sトランスポンダが応答している気圧高度を使うかどうか。同じ基準(1013 hPa)で比較できるため精度が上がります。
選択肢
No / Yes
推奨値
Mode-S搭載機は Yes。非搭載機は No。
注意点
自機のトランスポンダが正しく応答していることが前提です。
ADS-B horizontal range / vertical range 詳細
意味
ADS-B機を表示・警報する水平/垂直の範囲。
選択肢
水平:Off / 1.5 NM〜20 NM / Unlimited / Custom  垂直:500 ft〜10000 ft / Unlimited / Custom
推奨値
水平 10 NM / 19 km、垂直 7500 ft / 2300 m(既定)。滑空機の運用高度・速度に合った実用的な値です。
注意点
むやみに Unlimited にすると遠方の航空路を飛ぶ旅客機まで拾い、ディスプレイが埋まります。
Mode-S horizontal range / vertical range 詳細
意味
方向が分からないMode-S機を「近接あり」として扱う範囲。
選択肢
水平:Off / 1〜5 NM / Custom  垂直:500 ft〜10000 ft / Unlimited / Custom
推奨値
水平 3 NM / 6 km、垂直 7500 ft / 2300 m(既定)。
注意点
Mode-Sは距離推定が電波強度ベースで誤差が大きく、広げると警報が増えすぎます。既定値のままを推奨。
1090 antenna amplification (calibration) value 詳細
意味
1090MHz受信系(アンテナ・ケーブル)の利得を数値で補正し、電波強度から距離を推定する計算を合わせるための値です。
選択肢
数値(既定 30
推奨値
30(既定値のまま)
注意点
設置業者・メーカー指示がない限り変更しないでください。誤った値はMode-S警報の距離推定を狂わせます。
Mode-S targets as PFLAU on the "RJ45" port 詳細
意味
方向不明のMode-S警報を、外部機器に $PFLAU 文として通知するかどうか。
選択肢
Off / On
推奨値
On(外部ディスプレイで無指向性警報を出したい場合)。
注意点
古い外部機器では「方向不明の警報」を正しく扱えず、誤った方向に表示することがあります。その場合は Off。
Rebroadcast services 詳細
意味
地上局が再送信するトラフィック情報(TIS-B:レーダー由来、ADS-R:他周波数のADS-B中継)を利用するか。
選択肢
None / TIS-B / ADS-R / Both
推奨値
Both(既定)。
注意点
これらのサービスは主に米国(UAT)で提供されています。日本国内では対象となる地上局がないため、実質的に効果はありません(有効のままでも害はありません)。

2-6. ADS-L

FLARM設定画面(3/3)
FLARM設定画面(3/3)。ADS-L、IGC Recording(グレー=詳細項目)、Upload Configuration File セクション。パイロット名・登録記号・競技IDはマスク済み。

ADS-L は欧州で導入が進む軽量な位置情報放送規格です。本機では ADS-L license is not present. ADS-L transmission is disabled. と表示されており、ライセンス未購入のため送信は無効です。日本国内では現時点で必要ありません。使いたい場合は販売店経由でライセンスを追加します。

2-7. IGC Recording(飛行記録) 詳細

内蔵IGCロガーがログに書き込むヘッダ情報と記録間隔を設定します。競技・記録飛行に出す場合はここが正しいかを飛行前に必ず確認してください。

Logging interval (seconds)
意味
何秒ごとに位置を記録するか。
選択肢
1 〜 8 秒
推奨値
通常飛行は 4秒(既定)。競技・記録申請では主催者/FAI規定に従い 1〜2秒
注意点
短くするとファイルが大きくなり、長時間飛行で内蔵メモリを圧迫します。定期的にログを吸い出しましょう。
Pilot name / Co-pilot name
意味
IGCファイルのヘッダに書き込まれる搭乗者名。Pilot name は 2-2 の項目と連動します。
選択肢
ASCII(Pilot 47文字、Co-pilot も同様)
推奨値
実際に搭乗する人の名前をローマ字で。単座なら Co-pilot は空欄。
注意点
複座で教育飛行を行う場合、後席(教官)を Co-pilot に入れると記録の証跡として有効です。
Registration / Aircraft model / Glider competition class / Glider competition ID
意味
IGCファイルヘッダに記録される機体情報。Class は競技クラス(Standard, 15m, 18m, Club など)。
選択肢
Registration 15文字/Model 31文字/Class 15文字/CompID 15文字(いずれもASCII)
推奨値
大会エントリーの記載内容と一字一句そろえる
注意点
ここが空欄・誤記だと、競技の成績処理でログが受理されないことがあります。

2-8. Upload Configuration File(設定ファイルの読み込み)

FLARMの設定ファイル(flarmcfg.txt 形式)をドラッグ&ドロップ、または「Browse」で選び「Upload」を押すと、設定を一括で流し込めます。

使いどころクラブで複数機に同じ設定を配る、機器交換前の設定を復元する、といった用途に便利です。アップロード前に現在の設定を控えておくことをおすすめします。
注意ファイルの内容がそのまま反映されます。機体固有の項目(登録記号、ICAOアドレス、コンペID)まで上書きされるため、流し込んだ後は必ず機体情報を見直してください。

第3章Configuration > WiFiConfiguration / WiFi

本体が出しているWi-Fiアクセスポイントの設定画面です。カードは2つ。

WiFi設定画面
WiFi設定画面。上が Wi-Fi Access Point(SSID・パスワード・Restart)、下が Wireless Auto Shut Off。SSIDはマスク済み。

3-1. Wi-Fi Access Point

上段がSSID、下段がパスワードの入力欄です。それぞれ入力して「Set SSID」「Set password」を押し、最後に 「Restart」 を押すと反映されます。

項目説明
SSID1〜31文字。空欄にして設定すると既定のSSID(FLAFLX10W-シリアル)に戻ります
パスワード8〜31文字。空欄にするとパスワードなし(誰でも接続可)になります。右端の目のアイコンで入力内容を表示できます。
Restart変更を反映するための再起動。押すと現在のWi-Fi接続はいったん切れます。
変更前に必ず読むSSIDやパスワードを変えると、本体ステッカーのQRコードでは接続できなくなります。またパスワードを忘れると工場出荷リセット(第13章)以外に復旧手段がありません。変更する場合は新しいSSID/パスワードを控え、機体の目立つ場所に貼っておくことを強く推奨します。
推奨クラブ機・共用機では既定のまま(ステッカーのQRで誰でもつなげる状態)が実用的です。個人機で第三者に触られたくない場合のみ変更してください。

3-2. Wireless Auto Shut Off(Wi-Fi自動オフ)

指定した条件を満たすとWi-Fiを自動的に切る機能です。切れた後は本体再起動、または着陸(in flight条件の場合)で再び有効になります。

選択肢意味・使いどころ
Always on常時オン(既定)。地上での設定作業が多い運用向け。
Switch off on first valid GPS fix最初にGPS測位した時点でオフ。消費電力と電波を最小にしたい場合。
Switch off in flight離陸を検出したらオフ、着陸で自動復帰。もっとも実用的でおすすめ。
Switch off 5 / 10 / 15 minutes after startup起動から一定時間後にオフ。飛行前準備の時間に合わせて選択。
黄色の警告について画面の黄色帯は「すでに条件を満たしている状態で選ぶと即座にWi-Fiが切れます」という意味です。たとえばGPS測位済みの状態で「on first valid GPS fix」を選ぶと、その場で接続が切れて画面が操作できなくなります(本体を再起動すれば戻ります)。

第4章Configuration > FLARM HubConfiguration / FLARM Hub

WebGUI(FLARM Hub)自体の設定です。

FLARM Hub設定画面
FLARM Hub設定画面。上が Lock device(設定ロック)、下が Language Selection(表示言語)。

4-1. Lock device(設定のロック)

パスワードを設定すると、設定変更にロックがかかります。閲覧は誰でもできますが、変更にはロック解除が必要になります。

使いどころクラブ機で、正しく設定した内容を誰かがうっかり書き換えてしまうのを防ぐのに有効です。ロック用パスワードはクラブの整備担当だけが持つ運用にします。

4-2. Language Selection(表示言語)

English / Deutsch / Français の3言語から選べます(日本語は現時点で用意されていません)。本書はEnglish表示を前提に解説しています。

第5章Maintenance > Software UpdateMaintenance / Software Update

本体ソフト(PowerFLARM Flex ファームウェア)と、Web画面側(FLARM Hub)の更新を行います。日常運用でもっとも重要な保守作業です。

Software Update画面
Software Update画面。上が本体ファームウェア(.fw)、下が FLARM Hub ソフト(.bin)の更新。現在のバージョンと有効期限が表示される。

5-1. なぜ更新が必要か

FLARMは全機が同じ電波プロトコルで通信するため、ソフトには有効期限(Expiration Date)が設定されています。期限を過ぎた機器は他機と互換性を保てないため送受信を停止します。つまり、更新を怠るとある日突然FLARMが機能しなくなります。Status画面のExpiration Dateを定期的に確認してください。

5-2. 更新手順

  1. PCで flarm.com の該当製品ページから最新ソフトをダウンロードします(本体は .fw、FLARM Hub は .bin)。
  2. 機体側の電源を安定させます(更新中の電源断は故障の原因。可能なら外部電源を接続)。
  3. WebGUIの Software Update を開き、該当する枠にファイルをドラッグ&ドロップ、または「Browse」で選択します。
  4. 「Upload」を押します。進捗が 0% → 100% と進み、「In progress」表示になります。
  5. 完了後、本体が自動的に再起動します。Wi-Fiが切れるので再接続し、Status画面で新しいバージョンと期限を確認します。
更新中の注意①電源を切らない ②Wi-Fi接続を切らない(スマホの自動切替に注意)③飛行直前に始めない。更新には数分かかります。
本体とHubの関係2つは別々のソフトです。通常は両方を最新にします。本体ソフトを更新したのにWeb画面の表示がおかしい場合は、FLARM Hub 側も更新してください。

第6章Maintenance > Obstacle DatabaseMaintenance / Obstacle Database

送電線・アンテナ塔・索道などの障害物データベース(.ob2 ファイル)を導入する画面です。導入するとFLARMが障害物への接近警報を出せるようになります。

Obstacle Database画面
Obstacle Database画面。本機は「No database installed.」=未導入の状態。
日本での実情障害物データベースは主に欧州アルプス圏を中心に整備されています。日本国内向けのデータは限定的なため、未導入でも通常運用に支障はありません。山岳飛行で欧州へ行く場合などに導入を検討してください。

第7章Maintenance > IGC FilesMaintenance / IGC Files

内蔵ロガーが記録した飛行記録(IGCファイル)を一覧・ダウンロードする画面です。日常でもっとも使う画面のひとつです。

IGC Files画面
IGC Files画面。「Refresh list of files」で一覧を取得したところ。日付・飛行時間・ファイル名・パイロット・コンペID・クラスが表示される。ファイル名の一部(ロガーシリアル)はマスク済み。

7-1. ログを取り出す手順

  1. Load list of files」(取得済みなら「Refresh list of files」)を押します。本体からファイル一覧を読み出すので数秒〜数十秒かかります
  2. 一覧から目的のフライトのファイル名をクリックすると、そのファイルがダウンロードされます。
  3. すべてまとめて取り出したい場合は「Download all files」。ZIPでまとめてダウンロードされ、進捗が「Downloading: x%」に表示されます。

7-2. 一覧の見かた

内容
Date飛行開始日時(UTC基準の記録)。
Duration記録時間(離陸検出から着陸検出まで)。
FileIGC標準のファイル名。例 691XABC1.IGC = 6:2026年 / 9:9月 / 1:1日 / X:FLARM製 / ABC:ロガーシリアル / 1:その日の1本目。
Pilot / Competition ID / Class第2章「IGC Recording」で設定した内容がそのまま入ります。空欄のときはログのヘッダも空欄です。
運用のコツ①飛行後その場でスマホにダウンロード → SeeYou / XCSoar / OLC へアップロード、という流れが最短です。②メモリは有限なので、シーズン中は定期的に「Download all files」でバックアップを。③Pilot欄が空/別人のままだと後で困ります。飛ぶ前に第2章のIGC Recordingを確認する習慣を。

第8章Tools > Traffic MonitorTools / Traffic Monitor

受信中のFLARM機・ADS-B機をレーダー風に表示する画面です。あくまで動作確認・トラブルシュート用で、衝突回避には使えません。

Traffic Monitor画面の上部
Traffic Monitor画面の上部。黄色の枠内が公式のディスクレーマー(免責事項)。
レーダー表示部
レーダー表示部。中央の三角が自機、同心円が距離リング(2.5 NM / 5 NM)。左上に単位切替(Aviation / Metric)と表示基準切替(Track Up / North Up)、右上に拡大・縮小、右下に全画面ボタン。

8-1. 表示の見かた

操作/表示説明
中央の三角自機。周囲に他機が表示されます。
同心円距離リング。図では 2.5 NM と 5 NM。
Aviation / Metric単位の切替(NM・ft / km・m)。
Track Up / North Up画面上方向を進行方向にするか、真北にするか。地上で確認するときは North Up が分かりやすい。
+ / −表示範囲の拡大・縮小。
右下の四隅アイコン全画面表示。

8-2. 重要な制限(公式ディスクレーマー要旨)

この画面で警報は出ません。表示されるのは「現在の設定で通過したトラフィックだけ」です。第2章で範囲を絞っていれば、その範囲外の機体はここにも出ません。障害物・アラートゾーンは表示されません。地上にいる間は、StealthモードやNo-Trackモードの機体は表示されません。安全に関わる判断を、この画面の情報だけで行わないでください。飛行中の衝突回避は必ずFLARM対応ディスプレイで行います。
使いどころ①外部ディスプレイに他機が出ないとき、本体自体は受信できているかを切り分ける ②アンテナ交換後に受信できているかを確認する ③地上で近くの機体が見えるかを試す。

第9章Tools > Data PortTools / Data Port

データポートに流れているNMEA文を、そのまま画面上で見られるターミナルです。設定確認や外部機器のトラブルシュートに使います。

Data Port画面(未接続)
Data Port画面(未接続)。「Connect」を押すとデータの表示が始まる。
「Connect」後の表示
「Connect」後の表示。GPS航法文とFLARM文がリアルタイムに流れる。緯度経度と他機のIDはマスク済み。

9-1. 操作

ボタン説明
Connect / Disconnectデータの取り込み開始・停止。
Clear画面の内容を消去。
Save表示中のログをテキストファイルとして保存。サポートに送るときに便利。
下部の入力欄 + Sendコマンド文を機器へ送信します。上級者向け

9-2. よく出てくる文の意味

センテンス意味
$GPRMCGPSの基本情報(時刻・緯度経度・対地速度・日付・測位状態)。A=測位有効、V=無効。
$GPGGA測位品質・使用衛星数・GPS高度・ジオイド高。
$GPGSA使用中の衛星番号とDOP(精度指標)。
$PFLAUFLARMの総合ステータスと、もっとも危険な相手の情報。警報レベルはここに出ます
$PFLAA受信している他機1機ごとの相対位置・高度差・進行方向・ID。1機につき1行。
$PFLAL自己診断・ステータスのログ情報。
$PGRMZ気圧高度(Garmin互換形式)。
切り分けのヒントここに $PFLAA が流れているのに外部ディスプレイに他機が出ない場合、原因は本体ではなくケーブル・ボーレート・プロトコル版・外部機器側の設定です(第2章 2-3)。
Send欄の扱いコマンド送信は設定を書き換える可能性があります。メーカー・販売店の指示がない限り使用しないでください。

第10章Tools > Range AnalyzerTools / Range Analyzer

CARP(Continuous Antenna Range Performance)による、実際にどれだけ遠くの機体と通信できているかの解析画面です。アンテナ設置品質の健康診断にあたります。

Range Analyzer画面
Range Analyzer画面。方位別の到達距離をレーダーチャートで表示。赤斜線は「Poor range(到達距離不足)」。
画面下部の Reset CARP セクション
画面下部の Reset CARP セクション。

10-1. 見かた

データが出ないとき「No range data available.」は、他のFLARM機との交信実績がまだないという意味です。数フライト、他機のいる空域を飛べばデータが蓄積されます。

10-2. Reset CARP

蓄積した測定データを消去して、ゼロから解析をやり直します。押すべきタイミングは公式に3つ示されています。

  1. 機器を新規に取り付けたとき
  2. PowerFLARM Flex を交換したとき
  3. 年次整備のとき(その前に「Print report」で前年の記録を保存しておく)
注意リセットすると過去のデータは戻りません。また、信頼できる結果が出るまでに数フライト必要です。競技シーズン直前のリセットは避けましょう。

第11章Tools > SimulatorTools / Simulator

疑似的なトラフィックや警報を発生させ、接続したディスプレイやスピーカーが正しく鳴るかを地上で確認するための機能です。

Scenario Simulator画面
Scenario Simulator画面。6種類のシナリオから1つを選び、「Run the selected scenario」で実行する。
シナリオ内容(各30秒)
FLARM aircraftFLARM搭載機1機が相対方位0°(正面)から衝突コースで接近。警報なし→レベル1→2→3と段階的に上がる。
ADS-B aircraftADS-B機1機が相対方位270°(左)から衝突コースで接近。
Non-directional aircraft (Mode-S)Mode-Sトランスポンダ機(方向不明)が接近。無指向性警報の確認。
Obstacle障害物データベース由来の固定障害物への接近(有効なDBとライセンスが必要)。
Alert zoneアラートゾーン(例:スカイダイビング実施中の空域)への進入・通過・離脱。
Multiple objectsFLARM機・ADS-B機・Mode-S機・障害物・アラートゾーンが同時に存在する複合状況(いずれも警報は出ない)。
飛行中は使えません画面に「This feature is not available while in flight.」と表示され、飛行中は実行できません。またシミュレーション中は自機位置も疑似的なものに置き換わりますので、必ず地上で、周囲に誤解を与えないよう配慮して実施してください。
用途①新規装備後の受け入れ検査 ②年次整備での警報系点検 ③新人パイロットに警報の見え方・音を体験させる訓練。アンテナ設置品質の判定にはなりません(それは第10章のRange Analyzer)。

第12章Tools > IGC Task DeclarationTools / IGC Task Declaration

競技・記録飛行のための課題(タスク)宣言をロガーに書き込む画面です。宣言はIGCファイルに記録され、飛行の証拠となります。

IGC Task Declaration画面
IGC Task Declaration画面。上がタスクの作成・有効化、下が宣言ファイルのアップロード。

12-1. 手入力で作る

  1. 離陸地点・着陸地点も宣言する場合は「Declare take-off and landing?」にチェックを入れます。
  2. 「New task name」にタスク名(ASCII 50文字以内)を入れて「Create new task」。
  3. ウェイポイントを追加していきます。各点は Name(50文字以内)、LatLon を入力します。
  4. すべて入力したら「Restart device and activate task」を押します。本体が再起動して初めて宣言が有効になります

12-2. 座標の書き方(重要)

座標は WGS84のDMM形式(度・分小数)を、記号なしで詰めて入力します。

項目書式
緯度 LatDDMMmmmN(2桁+2桁+3桁+方位)N 12°34.567' → 1234567N
経度 LonDDDMMmmmE(3桁+2桁+3桁+方位)E 012°34.567' → 01234567E
よくある間違い①経度の頭に0を付け忘れる(日本は3桁で 139… ですが、100°未満の地域は 0xx…)②度分秒(DMS)のまま入力する ③°や'記号を入れる。いずれも受け付けられません。

12-3. ファイルから読み込む

下の「Upload IGC Task Declaration」に宣言ファイルをドラッグ&ドロップして「Upload」→「Restart device to activate upload」で反映します。SeeYou等で作成した課題を流し込む場合はこちらが確実です。

上書きに注意新しいタスクを有効化すると、既存のタスクは削除され、本体が再起動します。タスクは「スタートとフィニッシュの2点以上」が必須です。飛行直前ではなく、余裕をもって準備してください。

第13章Tools > SupportTools / Support

不具合が起きたときの調査・復旧のための画面です。通常運用では触らない機能が並びます。

Support画面
Support画面。上から Support Package(診断データ作成)、Restart FLARM Hub(Web側の再起動)、Factory Reset Device(工場出荷リセット)。

13-1. Support Package

設定とデバッグ情報をZIPにまとめる機能です。販売店・メーカーから依頼されたときに使います。「Include flash dump」にチェックを入れると詳細なメモリダンプも含まれますが、最大1時間かかります。作成中は機器が使用できません。

13-2. Restart FLARM Hub

Web画面(Hub)側だけを再起動します。画面が固まる・つながらない・表示が更新されないといった症状のときに、まず試す操作です。FLARM本体の送受信は継続します。

13-3. Factory Reset Device

最終手段です。すべての設定とデータが消去され、工場出荷状態に戻ります。機体情報・ICAOアドレス・Wi-Fi設定・IGC設定はすべて再入力が必要です。実行前に必ず設定内容を控え、IGCログをダウンロードしてください。Wi-Fiパスワードを忘れて接続できなくなった場合の復旧手段でもあります。

第14章AboutAbout

FLARM Hub のバージョン・ビルド番号・著作権表示と、使用しているオープンソースソフトウェアのライセンス一覧です。

About画面
About画面。バージョン/ビルド番号と、使用OSSのライセンス一覧(各「License」リンクで全文を表示)。

サポートに問い合わせるときは、この画面の Version / build と、Status画面の Firmware Version・Device ID をあわせて伝えるとやり取りが速く済みます。

付録A日常運用チェックリストDaily checklist

A-1. 飛行前(Status画面で30秒)

確認項目合格基準
Status / GPS / Transmit のランプいずれも緑
ErrorsNo error
Expiration Date今日より先の日付
GPS Satellites5個以上
External Voltage(機内配線の場合)機体電圧が出ている
Pilot name / Registration(設定 > FLARM)今日の搭乗者・機体になっている

A-2. 飛行後

  1. Wi-Fiで 10.10.10.10 に接続。
  2. IGC Files →「Refresh list of files」→ 目的のファイルをダウンロード。
  3. SeeYou / XCSoar / OLC などへアップロード。

A-3. 年に一度(年次整備とあわせて)

  1. Software Update で本体・FLARM Hub を最新に。
  2. Range Analyzer で「Print report」を保存 → 「Reset CARP」。
  3. Simulator で各シナリオを実行し、ディスプレイと音が正常に出るか確認。
  4. 設定内容(機体情報・ICAOアドレス)を再確認し、記録として保存。

付録BトラブルシューティングTroubleshooting

症状確認すること
Wi-Fiが見つからない電源が入っているか/起動から30秒待ったか/Wireless Auto Shut Off の条件で切れていないか(第3章)。本体を再起動すると復帰します。
Wi-Fiにはつながるが 10.10.10.10 が開かないスマホが自動的にモバイル回線へ切り替わっていないか/ブラウザのアドレスに https:// を付けていないか/Support画面の「Restart FLARM Hub」。
Wi-Fiパスワードが分からない本体ステッカーを確認。変更していて分からない場合は工場出荷リセットのみ(第13章)。
GPSが緑にならない屋内・格納庫でないか/GPSアンテナの視界(キャノピー越しか、金属の影でないか)/起動直後は数分かかることがある。
Transmitが点かないGPSが有効か(測位できないと送信しません)/Aircraft type等が未設定でないか(第2章)。
外部ディスプレイに他機が出ないまず Data Port で $PFLAA が流れているか確認(第9章)。流れていればケーブル・ボーレート・プロトコル版・外部機器側設定を確認(第2章 2-3)。
受信が極端に少ないRange Analyzer で方位別の到達距離を確認(第10章)。アンテナの取り回し・向き・カーボン構造の影を疑う。
IGCファイルが一覧に出ない「Refresh list of files」を押したか/実際に離陸を検出したか(Status の Flight Recorder)。短時間の地上走行では記録されないことがあります。
IGCのパイロット名が違う第2章「IGC Recording」で設定。記録済みのログは後から直せません
ある日突然FLARMが動かなくなったStatus の Expiration Date を確認。期限切れならソフト更新(第5章)。
設定を変更できないFLARM Hub でロックが有効になっている可能性(第4章)。「Unlock until restart」で解除。

付録C用語集Glossary

用語意味
FLARM滑空機・軽航空機向けの衝突警報システム。各機が自分の位置と予測航跡を電波で送り合い、衝突の恐れを警報する。
FLARM HubPowerFLARM Flex に内蔵されたWeb設定画面。本書の対象。
ADS-B航空機が自分の位置をブロードキャストする方式。1090MHzで受信できる。
Mode-S / Mode-C二次監視レーダー用トランスポンダの方式。FLARMはその応答を受信して「近くに機体がいる」ことを検知するが、方向は分からない
TIS-B / ADS-R地上局が再送信するトラフィック情報。主に米国で運用。
ICAO 24bitアドレス航空当局が機体に発給する固有の識別番号(16進6桁)。
IGC / IGCファイルFAI国際滑空委員会が定めた飛行記録の標準形式(拡張子 .IGC)。
ENLEngine Noise Level。エンジン作動を検知する指標で、IGCログに記録される。
OGNOpen Glider Network。地上受信局のネットワークで、FLARM電波を受信して航跡を公開する。
CARPContinuous Antenna Range Performance。実運用データからアンテナの実効到達距離を評価する仕組み。
NMEA航法機器の標準データ形式。$GPRMC$PFLAA などの「文(センテンス)」で構成される。
PFLAU / PFLAAFLARM独自のNMEA文。前者は総合状態と最大脅威、後者は他機1機ごとの情報。
Stealthモード自機の詳細な位置情報の送出を制限する競技向け機能。
No-Trackモード地上ネットワークに記録・公開しないよう要求するモード。